- うちの会社は会議が多い
- 会議が長い
- 何のための会議か分からない
そう思ったことはありませんか?
一方、上司から会議の進行役を任された場合、
「自分にはできない」「前日から眠れないほど緊張する」とネガティブに人は多くありませんか?
参加者の立場では不平不満を言ってしましがちな会議ですが、
いざ仕切る側になると「頭が真っ白になる」という経験をしたことがある人は少なくないはずです
ビジネスマンにとって、「ファシリテーション」スキルを習得できるか否かは、
今後のビジネス人生を左右すると言っても過言ではない!!
そこで、グロービス著「ファシリテーションの教科書」を読み、学んだ内容をわかりやすく解説しております
どうぞ最後までご覧ください
ファシリテーションができるは武器になる

ファシリテーション(facilitation)は、会議等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力のひとつ
引用:Wikipedia
「会議」をイメージしてください
多くの方は不満や問題意識をお持ちではないでしょうか?
ネガティブなイメージの方は、現在の会議におけるファシリテーターのスキル不足の可能性が高いです
しかも、そのファシリテーターはある程度役職のある方ではないでしょうか?
そうなのです、ファシリテーションは上司や役職者でも習得できていない可能性が高いのです
よって学ぶ機会も少ないのですが、
ファシリテーションは先を見越してスキルアップすべき理由が4つあります
【理由①】働き方や時間効率が一段と重要視されてきた

2018年の日本の1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、OECD加盟36カ国中21位
OECD平均よりも下回っており、日本は決して労働生産性の高い国といえない状態です
厚生労働省は「働き方改革」実現のため、
生産性を向上しつつ長時間労働をなくすための法律が策定しています
ソフトウェア会社の意識調査で、営業担当者が回答した業務の無駄の1位は「社内会議」でした
働き方や時間効率が一段と注目される中、
短時間で効果の高い「会議」を実施することが非常に重要になってきております
【理由②】コロナの影響でオンライン会議が定着した
コロナウイルスの影響で、テレワークと共にすっかり定着したのがオンライン会議です
遠く離れた人ともすぐに会議を開くことができ、
また社外の人とでも接触することなく打ち合わせができるため非常に有効なツールとなりました
一方で、
- 自分の意見やイメージを参加者と共有しづらい
- 発言しにくい
- 結論が出ないまま終わる
これまでの会議とは異なり画面越しであるため、
表情や感じ方、間の取り方などに苦戦する人が続出しています
ファシリテーションのスキルを身につけないと、
結局、今までの会議(≠オンライン)に戻ってしまうという状況になりかねません
【理由③】ダメ会議が多すぎる
株式会社アイランドクレアが企画する「奇跡の会議法プロジェクト」にて、合計102名を対象に実施した「会議に対する意識調査」によると、上位全てが消極的な意見となっておりました

その他にも、
- 事前の情報がない
- 目的や議題があいまい
- 参加者の役割が不明
- 意見が出ない
- 何が決まったのかあいまい
ネガティブな意見は非常に多くあり、要はダメ会議が多すぎることがわかります
ファシリテーションを身につけるとダメ会議を減らすことができ、
自分だけでなく部署や会社の成果の質に大きく貢献できることができます
【理由④】ファシリテーションが得意な人は少ない
最大の理由はこれです
会議の進行が上手な人…得意な人って聞いたことありますか?
そう、「ファシリテーション」が得意だ!と言える人はかなり少ないです
その理由は、ファシリテーションは中立公正な立場の人のための特別スキルだと勘違いしているためです
兎にも角にも、得意な人が少ない=差別化できるスキルだといえます
思考力、コミュニケーション力、分析力など総合的なスキルが必要であるため、習得は非常に難しいですが、身につけるとビジネスマンにとって何にも替えがたい武器になります
身につけるべきは「仕込み」と「さばき」

ファシリテーションを身につけるには、2つのスキルが必要です
- 事前の「仕込み」
- 本番の「さばき」
たった2つのだけですが、非常に奥が深いです
一つずつ解説していきます
仕込み
会議では参加者から様々な意見を引き出し、臨機応変に対応しながら議論をリードする…
そのために事前の準備(仕込み)が必要不可欠です
人間の思考力には限界があります
「仕込み」を行うことで、考えることを減らすことができます
「仕込み」では、
- 「到達点」を決める
- 「論点」をしっかり捉える
この2つをしっかり押さえておきましょう
「到達点」を決める
ダメな会議の典型例で「何の目的(議題)についての会議か分からない」が挙げられます
原因は「到達点」を設定していないためです
到達点が不明のままだと…
- 何について
- どのように
- どこまで
議論すれば良いのか分からない、決まらない…といった状態になります
到達点の決め方
では、「到達点」とはどのように決めれば良いのでしょうか?
「到達点」=○○が××の状態になること
× 会議終了までに、〜を議論すること
○ 会議終了時点に、〜が〜になっている状態となること
到達点の考え方として、実現したい状態として表現する
議論すべきこと(インプット)ではなく、状態(アウトプット)で定義する
会議中は、到達点を意識したファシリテーションをする
会議後は、到達点と照らし、何ができ、何ができなかったかを振り返る
案件全体の「到達点」と会議の「到達点」の両方を意識する
問題解決に至るまでには、「合意形成の4ステップ」を踏む
- What:何が問題なのか?
- Where:どの部分が問題なのか?
- Why :なぜ問題なのか?
- How:何をすべきか?
全部は議論できない!!
そこで「今回の議論の出発点はどこか?」「今回の議論の到達点はどこにするのか?」
参加者の状態をもとに設計する
1回の会議で案件の最終到達点に持っていく必要はありません
この間、僕が仕事で試した例を挙げてみると…
☑︎担当得意先と協業プロジェクト提案の第1回打ち合わせをzoomで開催(ファシリテートは僕)
☑︎会社同士の専門部署の引き合わせがメイン
☑︎今回の到達点は互いの課題感を伝え、協業の候補を出せる状態にすることに設定
☑︎初対面10名以上の会議だったが1時間で質の高い次回につながる議論ができた
到達点を意識すると、設定した状態に持っていくための議論ができ会議の質が向上します
「論点」をしっかり捉える

そもそもの大前提ですが、
論点≠意見
意見は答えであるのに対して、「論点は意見が答えになるような問い」のことを指します
例えば…
意見(答え):お小遣いを増やしてもらいたい
論点(問い):お小遣いを増やすにはどうすべきか?
論点の先には、
- 現状のお小遣いは平均と比較して多いのか?少ないのか?
- お小遣いを増やすにあたって問題は何か?
- お小遣いを増やすためのアプローチは何か?
といったように枠組みごとに深掘りすることができます
会議の場では、参加者は「意見」と「論点」をごちゃ混ぜに発言します
「論点」をしっかり捉えないと到達点へ方向付けることができません
入念な準備を行い、この「意見」はどんな「論点」の発言だろう?と考える必要があります
論点を3つのステップで考えます
ステップ①広げる
「考えられる論点を洗い出す」
参加者の立場(関心・利害・態度など)に立って、
誰かがあげる可能性のある論点を洗い出します
ステップ②絞る
「必要かつ重要な論点に重みづけをする」
洗い出した論点を分別し、対応を仮決めしておきます
分別するときの基準は「到達点」です
ステップ③深める
「意見か分かれるポイントや結論に大きな影響を与える論点をさらに具体化する」
× 結論を出すこと
○ 議論の切り口(フレームワーク)を用意する
例えば…例えば、欲しい仕入先を判断するポイント
- 品質・価格・納期
- 重要性・緊急性
- メリット・デメリット
- 現在・将来性
結果(=アウトプット)と原因(=インプット)を意識します
さばき

『さばく(捌く・裁く)』とは、「物事を要領よく処置する」こと
議論の場では、参加者から意見を引き出し適切に導くコミュニケーションが必要です
参加者の参加意欲を高めつつ、意見を整理して方向付け、参加者が議論しやすい状態を保ち続けます
3ステップで議論の場をコントロールしましょう
ステップ① 参加者からの意見を引き出す
参加者が「自分は関係ない」と思ってしまっている場合
状況:発言意欲は非常に薄くなる
対応:話の冒頭になぜこの場に呼ばれていて、どのような関係があるか触れておく
(理解しやすい論点から議論する)
参加者が何を発言して良いか分からない場合
× 結論言い切ったあとで「質問はありますか?」
× オープンすぎる「どう思いますか?」
⇨と質問されても、どう答えて良いか分からない
考えるべきこと、答えるべきことを絞って意見を聴くことが大事
例えば…
- 〜ついてメリット・デメリットがあると思いますが、まずはメリットはついてご意見いただけますか?
- ○○であるという問題の他に問題はありますか?
切り口を提示したり、考える範囲を限定したりすることで、
ハードルを下げる言葉を使って上げてみましょう
ステップ② 参加者からの意見を受け止める
心から参加者の発言を聴きたいと想い、しっかり以下の態度で示すことが大事
- アイコンタクト
- 相槌
- 共感を示す
- 板書する
また態度だけでなく、本当の「聴く力」重要になる
- 何ために(目的)
- 何について(論点)
- 何を(意見・主張・結論と根拠・理由)言っているのか
話し手が話している以上のことを読み取ることが大事になります
その際、「論理の三角形」を頭の中に作ります
「主張」を頂点にして根拠を支える構造で、
欠落している部分は何か?何が不足しているのか?を考えながら論理展開して話を聴きます

「相手の論理を完成させる」ことを考えます
- 主張が不明確 ⇨ 主張を明確にする
- 必要な論点が欠落 ⇨ 論点の整理・再整理
- 根拠や前提で欠落 ⇨ 確認と補完を行う

ステップ③ 参加者の意見を方向づける
まずは、全員が発言を理解するようにします
- 要旨(主張と根拠)をまとめる
- 「論点」と「意見」を分ける
- 議論全体における位置づけを示す
次の議論の呼水になるようにします
「意見」を「論点」に転換する
『「広告をテレビよりもネットに出すべきというのは、どの媒体を用いるべきか?」という論点についてのご意見ですね?』というように論点に転換します
次に発言の方向づけをする
ビジネスの議論の最終目的は「行動の決定」です
到達点を確認し行動につなげる(誰に、いつまでに、何をするのかを決める)
まとめ
ファシリテーションは習得すべき4つの理由です
- 効率や生産性が重要視されており、会議はその典型
- オンライン会議の定着で戸惑っている人が続出
- ダメ会議が溢れすぎている
- ファシリテートできる人は一握り=差別化できる
ファシリテーションは、重要度が増しているのにも関わらず習得している人が少ないスキルです
また、キャリアアップし組織をまとめる立場になると避けては通れません
そしてファシリテーションスキルの根幹は、
- 事前の「仕込み」
- 本番の「さばき」
この2つです
ファシリテーションは一朝一夕では困難な、ビジネススキルの総合力を問われる高度な技術です
是非、「ファシリテーションの教科書」を手元に置いて実践しながら振り返ることをオススメします
それでは